牛筋の下処理
当店の人気商品に牛筋があります。お客様にどのような料理にお使いになるのかとお聞きしますと、
牛スジカレー、牛スジハヤシ、牛スジの煮込み、牛スジおでん、変わったところですと煮コゴリなど
色々なお料理に使われているようです。
いずれにしても、煮込んで柔らかく調理する過程をふまないと料理が成立しません。
そこで大切なのが煮込む前の下処理です。
牛筋はアクが多く下処理を行わないと、料理の味や色にアク影響を及ぼします。
そこで今回は牛筋料理に欠かせない、下処理の方法を記します。
下処理といっても、簡単に言うとアク取です。牛スジだけでなく全ての肉に共通して行えますので
是非覚えといて頂きたいです。
牛スジ1キロに対し沸騰したお湯3リットルを沸かし、そこに30グラムの塩を入れます。そこに
良くほぐしたスジ肉を入れ、ボコボコと3分ぐらいかき混ぜながらアク出します。シンクにざるを
用意してそこにお湯ごとあけます。すかさず水をかけスジ肉に付いているアクを冷ましながら洗い落とします。
湯がいてコリコリになったスジ肉をその時のお料理に合わせた大きさに切ります。
下処理はこれで終了です。
牛筋は当然固いので、最低でも3時間は煮込みましょう。
2015-03-25 23:46:23
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カレーは日本人に愛され多様化した料理の代表の一つではないでしょうか。
私の子供の頃のカレーといえば、豚肉の小間切れ、良くても豚肉の角切りを
にんじんと玉ねぎと一緒に野菜炒め状態にして、そこに水を入れ小間切れならば30分、角切りならば1時間ちょっと煮て、グリコのカレールーを割り入れそれが溶けたら、はい出来上がり。書いている私自身なつかしく思う料理でした。なつかしついでに、スパゲティーもケチャップ味のナポリタンが定番でした。
ところがどうでしょう。高級牛肉のすね肉やネック肉を3時間以上煮込んで作る、ビーフカレー。当店でも松阪牛や葉山牛のその部位指定でお買い求め頂いているお客様が数多くいらっしゃいます。また豚肉のネックの部分で豚トロと呼ばれる部位でカレーを作るお客様もおられます。
鶏肉では、シャモ肉のももの部位をじっくり煮込んで造る高級チキンカレーやラム肉の肩肉と赤ピーマン、セロリなどを一緒に煮込んで造るラムカレー。
鶏肉のむね肉と香草、香味野菜をココナッツミルクなどで煮込んで造るグリーンカレーなども、東南アジア系の方々の当来と共に食材も入手が可能になったせいか、我々日本人の間でも結構食べられるように成りました。
私は、神奈川県の海の近く逗子で育ちましたが、シーフードカレー成るものは子供のころは見たことも、聞いたこともありませんでした。私の子供時代の昭和30年代から今日まで、各ご家庭やレストラン、食堂、カレー専門店、喫茶店、ラーメン屋さんまでも一緒になって、これほどの進化を遂げてきたのです。こんにちは、正に仁義なき、いやルールなきカレー戦争といったとことろでしょうか。
長々と前置きが過ぎてすみません。何が言いたいかというと私たち日本人は老若男女カレーが大好きだということでです。なぜお子様からご年配の方まで好きなのか、それが解ればどんなカレーでも上手く作れること請け合いです。
以下にその訳を私なりの解釈では有りますが、いくつか上げます。
1.なんといっても、味がご飯に合うことです。
ご飯がないカレーなんて月が出ない夜空みたいなもので、どこの国でもご飯と一緒に食べるのがカレーです。ちょっと独断が過ぎるとおっしゃる方もおられるでしょうが、とにかく日本人の主食と良く合うのです。
2.具が柔らかいことです。
いくら松阪牛や葉山牛のすね肉といっても硬いことは硬いですので、そこは時間をかけてじっくり煮込みます。あるいは最近目を見張るほど良くなった圧力鍋などでかんたんに柔らかく成ります。
3.健康的な食べ物です。
カレールーの中に入っている香辛料などが、消化を助けるためちょっと食べ過ぎても後々までお腹を苦しめません。
4.具材のバリエーションが数え切れないほど存在すること。
なすと合い挽き肉カレー、じゃがいもと牛挽肉カレー、酸味のきいたトマト入りカレー、変わり種では、ちくわのカレーなども有るそうです。
5.お母さんの味を出せる、個性を出せることです。
各家庭でそれぞれの食材を使い、カレー文化といってもさいしつかいのない多様性に富んた料理です。辛さ、濃度、色合い、食材、香辛料などで家族の好みに合わせ、家庭でそれぞれの味が出来上がっていくのではないでしょうか。
さて、お肉屋さんのカレーレシピといきたいところですが、上に述べた通り、国民的なこの料理を一介の肉屋が今更という気もいたいますので、ここでは1から5を参照しながら「カレーを作るポイント」だけ肉屋さんのレシピとします。 私の経験では日本のようにドロッとしてご飯の上へ乗ってしまうカレーは、国際的には少数派ですがこのレシピは日本のカレーライスのカレーをいいます。
【材料】
量はそれぞれの家庭の家族構成分または必要分プラス一人前。これは紅茶の入れ方と同じ考え方です。
上の1.のご飯に合うこととは、味やソースの濃度のことです。
カレーの味がご飯と合うのは、そのために生まれてきた料理なので当然ですが、出来上がりが味噌汁みたいにスープ状ではご飯の上にのってきませんし、食感もお茶付けのようでいけません。また濃度が濃すぎて、もちもちしているようではカレーパンにでもしたくなります。
先に述べた日本のカレーは国際的には少数派と述べましたが、私が初めて外国でカレーを食べたのは、30年程前新婚旅行でシンガポールとタイへ行った時のことです。シンガポールでは泊まったホテルがインド系のホテルだったので、そのホテルのレストランで本場のインドカレーの洗礼を受けました。
そのインドカレーは、外国人用に辛さの度合いを表す数字がメニューに5段階載っておりまして1から5まで順に辛くなると記してありました。私は3,妻は初々しくも2を選び食しました。その時出てきたカレーが濃度のないスープ状のカレーでした。ご飯と一緒に混ぜて食します 味は濃厚でおいしいのですが、何せ辛くて、辛くて、辛くて、妻の方は私より辛くないはずなのですが、同じように辛くてしょうがありません。これで辛さ度5でも食べたら「正気ではいられなく成る」。危ないところでした。
タイでは、グリーンカレーをバンコク市内のレストランで食しました。やはり辛いのですが、我慢が出来る辛さでした。味はやはり濃厚なスープ状ですが癖になるほどおいしかったです。食べ方としては、どちらのカレーもパサパサのインディカ米と一緒にいただくのですが、ご飯とカレーが別々に出てきてカレーを適量かけながら、お茶づけ状に成ったものを食します。
日本のカレーとは別物でしたがご飯と合うことは共通していますし、おいしかった思い出が今でもはっきり覚えております。
本題にもどりましてご飯とおいしくカレーを頂くには、しっかりとした濃厚な味付けが必要だということです。もちろん日本のカレーですからスープ状ではなくソース状に濃度を整えていかねば成りません。
では程良い濃度とはどのような濃度でしょう。それは常温のケチャップの濃度です。90%の方がカレールーをお使いになると思われます。しかも具が煮終わってからのはずですから、その時が1つのポイントです。具が煮終わったら火加減を最小にして、ルーの主成分は小麦粉ですから少しずつ時間をかけて鍋に溶かしこんでいきます、少し濃度が薄いかなぐらいで火を止め10分ぐらい放っておきます。その間にケチャップを小さじ2杯ぐらい小皿にとって起きます。
なぜ10分待つかと言いますと小麦粉は氷のように溶けるのに即効性はなく、ある程度の時間がかかります、このくらいだろうといっぺんに入れると後で完全にルーが溶けた時にぼてぼてに濃度が濃すぎるカレーに成ってしまう可能性が有ります。もしそうなってしまったら、後で述べますが取り返しのつかない失敗なのです。
さて、10分たちますと完全にルーは溶け濃度がはっきりしてきます、室温にもどったケチャップの濃度と比べてみてください、あらかじめルーを少なめに入れておけばケチャップとの濃度調整を楽に出来ます。あくまでもケチャップの濃度は目安なので、食べる方のお好みで調整してください。ケチャップは最後にカレーに入れてしまいましょう。濃すぎるのはいけません。
2.とも関係してきますが、ご飯とおいしくカレーを頂くには、しっかりとした濃厚な味付けが必要だということです。と前に述べましたが、これが一番肝心な所、超ポイントです。順次述べていきます。
4.具のバリエーションにも関係がありますが、牛肉でしたらすね肉やネック肉のような長く煮ないと柔らかくならない肉を選びます。豚肉は肩ロースのネック側とお肉屋さんに言ってください。ラム肉でしたら肩肉のブロックが真空パックで700gから800gで有りますのでそれごと買ってきて自分で角切りにすればお安く買えます。海鮮ものでしたら最低2種類使いましょう。
2.の具の柔らかくなる煮方ですが、具材ごとに煮る時間で決まります。
牛肉は2時間半は煮てください。野菜は最後の40分煮ます。
豚肉は1時間半煮てください。野菜はやはり40分です。
ラム肉は豚肉と同じです。
鶏肉はもも肉で1時間。野菜は40分です。
これ以上煮ても柔らかく成らないようでしたら、具のお肉や野菜が悪いのです。
【具材の共通下処理】
好みの大きさに肉や野菜を切り両方別々に炒めるか、湯通しを別々にします。どちらでも同じですが私の場合は湯通しをします。湯通しの方が出来上がりにさっぱりと食感も良いような気がします。
次に下処理をした具材を煮るブイヨンですが、手間をかけより美味しくするならば、牛肉ですと牛骨や牛すじを買ってきて香味野菜と一緒に3時間ほど煮出したビーフブイヨンを使いますし、豚肉のカレーでしたら豚の骨やすじ肉で同じように2時間かけてポークブイヨンをとります。困ったのはラム肉でラムチャップを良く召し上がる方ですとラムの骨もためておけますが、なかなか日本ではそうはいきません。この場合牛のブイヨンでもポークブイヨンでもいいと思います。鶏肉も同じ要領で鶏ガラを使います。
海鮮は魚屋さんで白身魚の頭やアラを買ってきて同じように香味野菜と一緒に煮出します。ブイヨンをこす時はギュッキュと絞りましょう。
煮出したブイヨンは、塩こしょうでカレーを作る前に味を少し薄めに調えて起きます。
けっして、水など味のついていないもので具材を煮るようなことをしてはいけません。
上のようにするのは、よっぼどのヒマジンとおっしゃる方には固形ブイヨンや顆粒状のブイヨンの素という強い味方が有ります。この時気をつけたいのがブイヨンの濃さと量です。
溶かしたブイヨンは、ほんの少し味は薄目にして、具と煮るブイヨンの量は具材と一緒に鍋に入れた時やっと具材にブイヨンがぶる程度、ここも具材とブイヨンの割合なので1つのポイントです。なぜやっと具がかぶる程度なのかといいますと、具が少なくて煮ていくブイヨンが多いとどうなるかと言いますと後でルーで濃度をつける時にルーをたくさん入れないととろみがつきません。これでは出来上がりのカレーがルーの味に支配されてしまい、具のうま味が死んでしまいます。
良くある失敗で具が煮終わった後カレー粉をいくら入れても、なかなかとろみのつかないのは煮る時のブイヨンの量が具に対して多いからです。当然、味も薄くなります。逆に具が煮終わり、ルーを入れる時に半分具かブイヨンから顔を出しているようでは具の味が濃くなり過ぎ、後で慌てて水などを入れて薄めても味が荒くなり、取り返しがつきません。ですから具材と一緒に鍋に入れた時やっとブイヨンが具材にがぶる程度にはじめから終わりまで煮なければいけません。
それには、火加減を鍋のふたから湯気がでない程度で煮ていくのも1つのポイントです。
よく、煮ている時の鍋の表面がほほえんでいるような火加減と言われますが、正にその火加減がふたをした時に湯気が外に逃げない煮方なのです。湯気を逃がさなければ煮詰まることも有りませんので是非そのような煮方で煮込んでください。理想的なのがガラスのふたです。
出来上がりましたら、一晩寝かすか一度完全にさましてから温め直して食べてください。
以上が、お肉屋さんのカレーの煮方のポイントでした。
後は5.お母さんの味を出していただいて、個性的にアレンジしてください。
以上です。
2013-04-26 19:23:34