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お肉の豆知識

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 ここで肉の熟成について少し触れておきます。お断りしておきますが、私は、肉屋であって科学者ではないので、そのつもりで参考程度にお読みください。

 肉の熟成とは、肉を特定の条件下で寝かせる事によって寝かせる前の状態よりもより美味しくなる事だと思います。この場合では、練りたてのハンバーグより一晩冷蔵庫で寝かせた方が中身の具もなじんでより熟成した状態になります。

 当店の、実店舗にいらして下さるお客様がよく言われる事で「お肉って腐りかけが美味しいのよね」とおしゃる方が意外に多いのです。この「腐りかけが美味しい」ですが、ある意味正解で、ある意味間違いなのです。お客様は、肉の熟成の事をおしゃっているのですが、お肉には、正しい腐りかけと、間違った腐りかけの認識がありまして....。

 なにやら込み入った話になって来て恐縮なのですが、私は肉屋としてお肉を本当に美味しく食べていただきたいので、もうちょっと話をそらさせて下さい。

 肉の中には、ミオブロビンといって血液の中に含まれているヘモグロビンの親戚みたいな物質が含まれています。お肉(特に牛肉)をスライサーで切った時、切り口の断面が切りたては赤くなく黒っぽく、徐々に鮮やかな朱色に変わっていくのは、この親戚が空気中の酸素と結びついて(酸化)発色します。お客様のおしゃる美味しい腐りかけとは、ミオブロビンが酸化しきると発色が止まり変色が始まります。これはある種の発酵でこの肉の色が変わり始めた頃を美味しい腐りかけといいます。けっして色が変わってもう少しで臭いが出そうな肉の事ではありません。

 上の文では、解りづらかったのではないかと思いますが、スライス肉で簡単に熟成を説明しました。簡単すぎて解らないとお思いの方は、スライス肉をブロック肉や枝肉に置き代えてみて下さい。よく肉屋さんやステーキハウスのショーケースに白い布にくるまれて大きなブロック肉が置かれているのを見た事が、おありでは無いでしょうか。あれは、肉をゆっくり、じっくり良い意味で酸化、発酵させ美味しくしているのです。ハンバーグのパテの中の肉も同じように美味しくなるのです。そしてその他の具や香辛料も寝かせる事により、より良くなじむ効果も得られます。一晩寝かしたパテが発酵している証拠は、バテを割って見ると表面の色と中の色が違い中の方が黒っぽく変色していればOKです。

 

 もし一晩寝かしたパテを割って中の色が表面の色と同じですとあまり上手に出来たとはいえません。その訳は、お肉の中のミオブロビンが綺麗に発色する温度はマイナス0.5度、いわゆる氷温と呼ばれる温度ですが、私たち肉屋は出来るだけこの温度で肉を処理していきます。

 

 お客様もなるべくお肉をこの温度で貯蔵、下処理をしていただきたいと思います。

ハンバーグ作りの行程で一番肉の温度を上げてしまう行程がこの練り込みです。グズグズ練り込んでいると明くる日、冷蔵庫で寝かせたパテが外側も内側も黒く水っぽくなって、正しい発酵がなされていない状態になります。

 

 けっして食べられなくなったわけでは無いのですが、より美味しくするという目的は、果たせません。しっかり温度管理をしながらモクモク、シュワシュワと手早く練り込まれたパテは、明くる日外側が綺麗な鮮度感の有る色になり中側は黒っぽいながらも水気が無くしっとりと仕上がります。

2013-04-26 19:15:01

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